連載 マークアップ言語Re:VIEW入門(3) 「IT」
Oracle VM VirtualBox の Re:VIEW を最新版にする
株式会社エルデ 土屋勝
前回、Windows 内に Oracle VM VirtualBox で仮想マシンを作り、Debian、LaTeX、そして Re:VIEW をインストールしました。しかし、まだ環境整備は終わっていません。最新版の Re:VIEW にアップグレードする必要があります。
○現在のバージョンを確認する
VirtualBox マネージャーから「review」をクリックして仮想マシンを起動し、ログインプロンプトには review、パスワードも review でログインします。
ID:review Password:reviewでログインする
まず、
ls -l
と入力し Enter キーを押します。「エルエス、半角スペース、ハイフンエル」です。これはフォルダ内のファイルを詳細形式で表示せよ、という命令です。review、review-el、work の3つのディレクトリが表示されるはずです。
次に
cat /etc/debian_version
と入力して Enter キーを押します。実行中の OS である Debian のバージョンが表示されます。ここでは7.1となるはずです。
そして
platex -version
と入力して Enter キー。いろいろ表示されますが、一番上の行に
e-pTeX 3.1415926-p3,3-10825-2.4 (utf8.euc) (TeX Live 2012/Debian)
と出ているはずです。
最後に
ls -l review/bin/
と入力します。Re:VIEW の実行ファイルのタイムスタンプを見て下さい。8月 11 2103となっているはずです。
インストールされている OS、アプリケーションなどのバージョンを確認する
○最新版Re:VIEWをインストールする
2014年7月12日に Debian 7.6 が、6月に TeX Live は2014が、6月29日には Re:VIEW 1.3.0 がリリースされています。
つまり去年作られた review-71-20130811.ova を使ってインストールした Re:VIEW 環境はかなり古いパッケージで構成されているわけです。Debian や LaTeX は安定しており、ちょっと古いバージョンだからと言って特に問題はありません。しかし、今なお発展途上でどんどん改良が加えられている Re:VIEW は、古いままだといろいろ不都合が出てきます。ですから Re:VIEW を最新版にしましょう。
まず、現在の review フォルダをリネームします。「mv review review.old」で、2013年版の Re:VIEW は review.old フォルダになります。
そして最新の Re:VIEW を GitHub からダウンロードします。「git clone https://github.com/kmuto/review.git」と入力します。光ファイバ接続であれば数秒でダウンロードは完了。「ls -l review/bin」と入力し、Re:VIEW ファイルが本日の日付になっていることを確認してください。あるいは「review-compile -v」と入力して最新バージョンになっていること(執筆時点では1.3.0)を確認します。
○キーボード配列とコンソールの色を変える
ここは好みの問題なので、気にならない方はスルーして下さい。
筆者は英語配列の Happy Hacking Keyboard を使っています。しかし review-71-20130811.ova で設定されるコンソールでは日本語配列になっています。このままだとキーボードトップに印字されている文字と実際に入力される文字が食い違ってしまいます。コンソールから
sudo vi /etc/default/keyboard
と入力し、
XKBLAYOUT=”jp”
となっているところを
KXBLAYOUT=”us”
に書き換えて保存します。x キーを押して「jp」という文字を削除し、a キーを押して挿入モードにして「us」と入力します。保存は Esc キーを押してから : キー、続いて w キー、q キーです。
「sudo」というのはスーパーユーザー(root)として操作するということです。「vi」はLinux標準の vi エディタです。ホームディレクトリ以外にあるファイルを修正するような場合、スーパーユーザーでないと書き込み禁止になっていて保存できないことがあるので、その時は sudo を付けてみてください。
さらにコンソール画面が黒地に白文字で、あまり読みやすくないのも好みではありません。Web に画面キャプチャを表示する程度だとさほど気になりませんが、雑誌や書籍に掲載すると文字が潰れてしまいがちです。そこで、グレー地に黒文字と設定を変えます。
これはホームディレクトリの .fbtermrc というファイルを修正します。
vi .fbtermrc
と入力し、
color-foregroud=7
color-backgroun=0
となっているところの数値を逆にします。つまり
color-foregroud=0
color-backgroun=7
にします。
一度 Re:VIEW 仮想マシンをシャットダウンし、再起動・ログインするとキーボード配列と表示色が変わっています。ただ、バックを真っ白にしたかったのになぜかグレーになっています。
○Re:VIEW 仮想マシンの使い方
Re:VIEW 仮想マシンの使い方についてはプロンプトで
help
とだけ入力すれば日本語でヘルプが表示されます。
helpとだけ入力すればヘルプが表示される
一つ分かりにくかったのが、Windows と仮想マシンとの間でファイルをどう共有するかということです。ホスト OS である Windows と Re:VIEW 仮想マシンとではファイルをドラグ&ドロップでコピーしたり移動することはできません。そもそもこの Re:VIEW 仮想マシンは CUI なのでマウスが使えません。
ヘルプにはカレントディレクトリの中にある「work」フォルダが Windows と共有されているので、そこを経由してファイルをやりとりすると書かれています。私はてっきり Windows のどこかのフォルダが revew マシンの work となっているのだと勘違いしていました。実はエクスプローラーで「ネットワーク」を開くと、そこに「REVIEW」という名前で WORK が共有されていました。
Windows のネットワークで REVIEW マシンにアクセスできる
ここに Windows から Re:VIEW で処理したいファイル、つまり ***.re、config.yml、CHAPS、画像、スタイルファイルなどをコピーします。ここでは連載第1回で使ったサンプルを流用します。2011年にカットシステムから上梓した『やさしいPascal入門』の元ファイルに修正を加えたものです。
Windows から REVIEW マシンに必要なファイルをコピーする
そして Re:VIEW 仮想マシンのコンソールで
cd work
review-pdfmaker config.yml
と入力します。
ずらずらっとメッセージが表示され、book.pdf が出力されます。
ls -l
と入力し、book-pdf フォルダ、book.pdf ファイルができていることを確認します。Windows ネットワークの REVIEW ドライブを開き、book.pdf をダブルクリックすれば Adobe Reader が起動し、今作った PDF ファイルの中身が表示されます。[ファイル][プロパティ]でフォントをチェックすると、日本語フォントはオープンソースである IPA フォントが埋め込まれています。
Windows 上の Re:VIEW 仮想マシンで作成した pdf ファイル
とりあえず、これで Re:VIEW を Windows マシン上で動かすことができました。
(次回に続く)
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