青色LEDについて知っておきたいこと「時事」
12月10日の授賞式までに覚えておこう
えひらビルマガジン編集部 簗 尚志
今年のノーベル物理学賞には、青色LEDを開発した赤崎勇、天野浩、中村修二さんが選ばれました。日本人としては山中伸弥さん以来2年ぶり、物理学賞では小林誠、増川敏英さん以来6年ぶりの快挙になります。なお公式の授与理由は「効率的な青色発光ダイオードを発明し、明るくて省エネルギーな白い光源を可能にした」とノーベル賞のホームページに記載されており、「白熱電球が20世紀を照らした。21世紀はLEDが照らす」といった声も掲載されています。
LEDが発光する色は、そのLEDの半導体材料で決まります。材料として使われるのは、Ⅲ属元素のAl(アルミニウム)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)とⅤ属元素のN(窒素)、P(リン)、As(砒素)との化合物によって作られる半導体です。
LEDによる発光は1960年代に、赤、黄緑色はすでに可能になっていましたが、色の三原色の1つ「青」はたいへん難しく、先の3人の努力で明るい青が可能になったのが約30年後の1993年のことです。その後日本のメーカーによって、青の発展系として緑LEDも開発され、色の3原色がそろったわけです。3原色がそろえばどんな色でも表示可能になります。明るい青が登場するまでは、数字の表示といった限られていたLEDの用途が、白色光が可能になったことで照明用として一気に花開き、今回の受賞につながりました。
なお白色光は、白い光を発光するLEDがあるわけではなく、赤、青、緑のLEDを組み合わせたり、蛍光体などと併用して実現されています。もっとも一般的な白色光を得る方法は、青色LEDに黄色の蛍光体を組み合わせたものです。他の方法に比べ、一番発光効率が高いと言われています。赤と緑を含んでいないため、やや青白く見えるのが特徴です。赤、青、緑のLEDを3原色とした白色光ももちろんあり、パソコンのモニターや大型映像装置のバックライトなどで使われています。
LEDは、従来の白熱電球や蛍光ランプにくらべ、省エネルギーで寿命が長いのが特徴ですが、最近では振動に強いという利点からも自動車のライトに使われるようになり、ますます活用の幅が広がっています。
照明の歴史を追うと、1810年代にガス灯が登場し、ろうそくの光から一気に道路を照らすまでになりました。次は1879年に白熱電球が登場、1938年に蛍光ランプ、そして1996年に白色LEDの販売が開始されており、照明は約60年毎に世代が変わると言われています。
1W当たりに得られる光を比較したユニークな図がノーベル賞のサイトにありましたので、紹介しておきましょう。
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2014/efficiency.pdf
白色LEDのBuzzネタ
「白色LEDは、虫が好む光の波長からずれているため、虫を集めにくくなっています」
「白色LEDは、紫外放射・赤外放射をほとんど含まないため、被照射物への負荷が少ないのが特長です」
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