スマホ勢力に変動あり「スマホ」
小米(Xiaomi、シャオミ)に要注意!
えひらビルマガジン編集部 簗 尚志
IT関連はここ数年、話題に事欠かないが、世界シェアNO.1のサムソンの失速は、業界でかなりの話題になったようだ。
韓国の新聞、中央日報のウェブサイトによると「サムスン電子の7~9月の営業利益は今年4~6月期(7兆1900億ウォン)より43.5%で昨年同期(10兆1600億ウォン)より60.1%減少した実績だ。この原因の多くは、Galaxy の中国での販売不振といわれている。
ここで、米CANALYSが発表した最近のスマートフォンの販売動向を見てみよう。
http://www.canalys.com/newsroom/xiaomi-becomes-china’s-top-smart-phone-vendor
世界でのスマートフォンのトップ5の販売台数推移
サムソンは、2013年Q2と2014年Q2との比較では、8000万台とほとんど同じなのに対し、サムソン以下の4社はみな増加している。具体的には緑が直近の数値だが、アップルは微増、Huawaiは倍増以上、Lenovoは2~30%アップぐらいだが、最後の「Xiaomi」は300%以上とのこと。
世界的にスマートフォンの出荷は伸びているわけだが、サムソンだけその波に乗り損ねたということだ。では、その「サムソンが乗り損ねた分」は誰が取ったか、というとサムソン以外の4社ではあるが、特に「小米(北京小米科技有限責任会社、Xiaomi、シャオミ)」の勢いには注目だ。(以下、シャオミ)
中国市場でのスマートフォン販売数(Q2のみ)
シャオミは、2010年に創業を開始し、4年足らずで、中国でサムソンを抜きスマートフォンシェアNO.1を奪取した。その勢いは凄まじいの一言、2012年が719万台、2013年が1870万台、で2014年は上半期だけで2611万台といわれている。CEOの雷軍(レイジュン)は会見で「我々は2014年に少なくとも4000万台供給することを再度約束する」と発言、今、世界で一番鼻息の荒い経営トップともいえるだろう。(直近の情報では、4000から6000万台に数字を引き上げたとのこと。強気!)。
シャオミがここまで台数を伸ばしたのにはいろいろ理由があるが、第一は抜群のコストパフォーマンスといわれている。シャオミの最近の携帯には2機種あるが、高い方の「MI4」で1999元(約35,000円)、安いほうの「Redmi S1」で799元(約14,000円)だ。これは米アップルのiPhone 5Cの4488元(約78,000円)、サムソンのGalaxy Note II 4000元(約69,000円)と比べても、はるかに安い。
それでいてスペックは、RAM容量3GB、5インチフルHDディスプレイ、Snapdragon 801 2.5GHz クアッドコア、背面に1,300万画素の、前面に800万画素カメラ、3,080mAhバッテリーなどを搭載と悪くない。
ここまで高スペックのモデルを安く作るために、シャオミはモデルのバリエーションはしぼり1年に1台の新作を基本としている。このため大量生産効果が得やすい。
もうひとつシャオミはほとんど広告制作費をかけないことでも有名だ。ではシャオミはどうやって消費者とコミュニケーションをとっているかというと、それはオンラインでのコミュニティマーケティングだ。中国版ツイッター「微博」やブログを活用し、シャオミの「ファン」を広げていった。1つ例を挙げると、シャオミはユーザーからの質問や意見に真摯に対応することでシャオミへのユーザーのロイヤリティ(忠誠心)をアップしている。
シャオミには1日あたり12万件の投稿があるが、そのうち解答を必要とするのが8,000件ほどで、シャオミのエンジニアたちは1人あたり1日150件に解答をすることになっている。さらに解答してくれたエンジニアのID番号がわかる仕組みになっているため、投稿したユーザーは、どこまで自分の意見に対応してくれたがよく分り、ひいてはそれがシャオミへの安心、一緒に開発しtげいるという参加感を生むとのことだ。
携帯電話の世界的な普及のスピードは、昨今のイノベーションの中でも「破壊的」といわれるほどの勢いだが、その中でも「(2015年には)1億台を目指す(CEO 雷軍)」までの勢いはシャオミ以外に見当たらない。
その勢いはスマートフォンにとどまらず、同社は家庭向けのITソリューションを続けざまに開発、販売するようだ。すでにシャオミはネット上で、「リアル・スマートホーム」のオープンベータテストを開始。スマートカメラ、スマートコンセント、スマート電球、スマートリモコンセンターなどを提案するようだ。
スマートカメラは「小蟻」という呼称で、自宅用のモニタリングカメラ。720Pの高解像度と広角4倍ズームレンズを持ち、音声通信機能もサポートするらしい。スマート電球はYeelightという呼称で、白色LEDにフルカラーRGBのLEDが入っている。フィリップスのLED電球「Hue」とほぼ同じ機能だが、価格は通常のLED電球並みを目指しているとのこと。
破壊的な躍進で中国のスマートフォン市場を制したシャオミ。この勢いは当面止まらないようだ。
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