HOME | よくある質問 | リンク
衛研発第70号
平成23年2月10日
府中市長 野口忠直様
国立医薬品食品衛生
所長 西島 正弘

国立医薬品色衛生研究所府中移転計画の中止を求める1万人署名の提出に係わる対応等について(回答)

春寒の侯 貴職におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申しあげます。
また、当所の府中市米軍基地跡地への移転に当たり、ご理解・ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、貴職より平成23年1月26日付22府政政発第90号で依頼がありました標記について、下記のとおり回答いたします。
なお、当所といたしましては、今後も引き続き、施設の安全性確保に努めるとともに、府中市住民の方の当所移転についての理解が得られるよう住民への説明を行って参りますので、当所移転計画の円滑な推進に向け、引き続きご協力を賜りますようお願い申し上げます。

《照会事項1》

今回、国衛研の移転の中止を求める署名が府中市に提出されたことについて、貴研究所としてはどのように受け止めているか。

【回答】

1. 署名を呼びかけた移転反対の主な理由は、安全性の観点から、①実験施設の構造に問題があること、②人為ミス、自然災害、テロなどによりバイオハザード(生物災害)が起きても、近隣住民は避難する時間を確保することができないこと。③防災体制に大きな不安があることから、近隣住民の生命の安全が保証されない、としています。

2. 実験施設の安全性について
(1)移転先における研究所の施設整備に当たっては、阪神・淡路大地震以後に見直された「官庁施設の総合耐震計画基準」に見合った強度の建物を建設することとしています。具体的には、同基準によれば「放射性物質若しくは病原菌類を貯蔵又は使用する施設及びこれらに関する試験研究施設として使用する官庁施設」に求められる耐震性能は、耐震基準の1.5倍とされているところです。
 また、研究は病原体の危険度(BSL1~BSL3)に応じて、必要とされる設備を備えた施設(P1~P3)で行い、P2、P3施設は「病原体安全管理区域」に指定し、立入制限を行い、教育訓練を受けた職員のみが使用可能としています。
 P3施設においては、実験は安全キャビネットの中で行い、安全キャビネットからの排気はヘパフィルターを2重に設置し、WHOの基準以上に安全に配慮しています。なお、ヘパフィルターの能力に関しては、WHOの指針「Laboratory biosafety manual,Third edition WH02004 section10 (実験室バイオセーフティ指針第3版 2004 10章p51)」では、ヘパフィルターは、直径0.3μmの粒子は99.97%、直径0.3μmより大きいか、より小さいサイズの粒子を99.99%捕捉する。これは、事実上ヘパフィルターがすべての既知の病原体を効果的に捕捉する事を可能にし、無菌の排気だけがキャビネットから放出されることを保証する。」と記載されています。
(2)P3施設は全国に200カ所以上ありますが、安全に運営されており、周辺住民に迷惑をかけた事例は今までに聞いたことがありません。
(3)また、府中市にあります「国立大学法人東京農工大学」も、P3施設を保有していますが、これまでにP3施設が問題となったことは聞いたことがありません。
(4)現在の国立衛研庁舎は、東京都世田谷区の住宅地にあり、隣接して駒澤大学附属高校、陸上自衛隊、近くには馬事公苑などの市民が集う施設がありますが、周辺住民等から施設の安全性等について問題を提起されたことはありません。

3. 人為ミス、自然災害、テロなどによるバイオハザード(生物災害)について
(1) P2、P3施設は「病原体安全管理区域」に指定し、入室を許可された者以外の立入りを禁止しています。具体的には、取り扱う病原体について「その本質」、「人体に対する病原性」及び「安全な取扱方法」等について十分な知識を有し、かつ「技術的熟練」を経ている者とし、当所が実施する訓練を受けた者のみが使用可能としています。また、既にご報告していますが、P3施設のIS0/IEC17025試験所認定を平成22年1月26日付で取得したことに伴い、試験所認定機関による、定期サーベイランス(2回/4年)が実施されます。
(2)国立衛研は、軍事施設ではないのでテロの目標になる可能性は非常に低いと考えています。上述したように、P2、P3施設は「病原体安全管理区域」に指定し、入室を許可された者以外の立入りを禁止するとともに、危険物の管理の徹底や警備の強化に努めます。また、P3施設については、地下に設置することも検討しています。

4. 防災体制について
病原体の種類や実験の日時など住民が知りたい情報が入手できない。被災しても責任の所在を明らかにすることが極めて困難なことから、防災体制に不安があるとのことについては、安全協定を締結し、対応します、具体的には、安全協定の締結に向けた検討の場で、①実験室の設置場所、②事故時の対応、③新たな病原体の取扱い、④実験の実施状況の公表、⑤定期協議会の開催などについて、住民代表、府中市及び学識経験者等と協議を行い、適切に対応していきたいと考えています。

5. 以上のことから、国立衛研P3施設の安全性確保については、ご理解いただけるものと考えています。
また、今般の署名活動については、国立衛研P3施設の安全性確保のための措置についで省略するなど、府中市民の漠然とした不安を煽り、署名を集めたものと考えられます。

≪照会事項2≫

 国衛研の移転計画については、今後どのようなスケジュール感で、どのように対応していくのか。特に、平成23年度においては移転関連の予算が措置されない方向と伺っているため、どのような取組ができるのかなどを含め、具体的にご回答願います。

【回答】

1. 昨年7月、翌々月(9月)までに国家公務員宿舎建設の凍結が解徐されることを想定し、国立衛研の府中移転計画を次のとおり作成しました。
・平成23年度:土壌詳細調査、地中埋設物調査
・平成25~27年度:基本設計、実施設計、確認申請
・平成26~27年度:解体撤去工事
・平成27~30年度:新庁舎建設工事
 平成30年度末:新庁舎竣工、移転
 しかし、現在も宿舎建設の凍結が解除されず、府中移転計画は大幅に遅れが生じています。

2. このような状況の中、今後のスケジュールこついては、国家公務員宿舎建設の凍結解除の時期及びその後の都市計画手続きの進捗状況に大きく左右されますが、仮に、平成23年月までに宿舎建設の凍結が解除され、都市計画手続きを速やかに進めていただける場合、平成23年度は①道路に関すr警視庁協議の再開、道路設計業者の選定、②都市計画(用途地域変更・地区計画)に係る住民説明会、③安全協定締結に向けた勉強会等を開始することができると考えています。

《照会事項3≫

移転計画について、20年以上が経過しても実現できないとなると、そもそも当該計画自体に無理があるものと考えざるを得ないが、厚生労働省から国衛研の移転先の変更について、「国の機関等移転推進連絡会議」の事務局である内閣官房及び国土交通省こ提案することはできないのか。

【回答】

1. 国立衛研が移転機関とされたのは閤議決定によるものであり、移転機関としての決定の変更や撤回は極めて困難なことです。
移転先(府中市)については、「国の機関等移転推進連絡会議」(平成元年8月)の決定事項であり、移転先を変更するためには、移転先の変更が真にやむを得ない場合に限られます。

2. 現在、移転計画が遅延していることの要因は、宿舎建設の凍結に伴う都市計画の凍結によるものであり、ごれらが解決されれば当所の移転計画は進むものと考えており、現時点では、移転先の変更について「国の機関等移転推進連絡会議」事務局に提案を行う時期ではないものと考えています。

3. 他方、これ以上府中移転時期が延びると、国立衛研庁舎及び設備の老朽化により、漏水の発生、漏電による火災や自然災害による庁舎倒壊の恐れが生ずることから、庁舎の改修等老朽化への対応や移転先の変更など、関係機関と相談等する必要があるものと考えます。

アーカイブ